2014年6月16日
[開催報告] 5/26(月)「地方ブランドを創るセミナー」in山形県酒田市
「地方ブランド」にフォーカスし、山形県酒田市で開催された「地方セミナーシリーズ」第5弾。「日本最後のご当地ラーメン」を生んだ地には山形県内外、全国から約120名の参加者が集まりました。講師を含めて真剣勝負で行われたセミナー&懇親会、食べ歩きツアーの模様をレポートします。
◆第1部
講演「繁盛の神様が語る! 地方ブランドの作り方」
講師 株式会社パシオ代表 日本ラーメン協会理事 土屋光正
豪華ラインナップの先陣を切ったのは、500店舗以上の人気店をプロデュースしてきた“繁盛の神様”こと土屋光正氏。ラーメン店はもちろん、幅広いジャンルの飲食店をプロデュース、リニューアルし、繁盛店にブレイクさせてきました。その実績に裏づけられた理論を立て続けに繰り出す土屋氏の言葉に、参加者も真剣に聞き入ります。
「綺麗なもの、見た目が良いものがブランドではありません。創業者の志があって、そこにお客さんは反応するのです。商品づくりに対する姿勢にファンがつく、ということなのです」
「『ブームの法則』とは、人気が上昇していくと時と下降する時は相似曲線になる、ということです。ピンク・レディーの活動期間は4年あまりですが、あっという間に頂点を極め、そして解散しました。一方、ドラえもんは僕が子供の頃から人気コンテンツですよ。人気が落ちる時が来るとしても、ゆったりと下降した50年先のことでしょう」
小手先のテクニック、ノウハウではない原理・原則。大正末期から続く老舗ご当地ラーメン発祥の地にふさわしい講演にムードも盛り上がり、ノンストップで第2部へと続いていきます。
◆第2部
講演「地方ブランドを全国ブランドにする方法」
『らーめん潤』店主 松本潤一氏
日本ラーメン協会副理事長(『気むずかし家』店主)塚田兼司氏
MC 土屋光正氏
1部から残った土屋氏がMCを務める第2部。壇上には、新潟5大ラーメンの一つ「燕三条背脂ラーメン」を首都圏に広めた越後の雄・松本潤一氏、「ラーメン不毛の地」とされた長野県から多くのブランドを育てて首都圏に送り込み、信州をラーメン王国にのし上げた塚田兼司氏の両名が加わりました。地方から東京進出に成功し、海外などさらなる展開を目指す両氏が過去・現在・未来を語りつくします。
「僕が20年以上も作ってきた燕三条ラーメンは背脂たっぷりの太麺で、見た目は山形のラーメンと真逆ですが、意外に通ずるものがあると思います。燕三条は洋食器が盛んな街で、工場の出前に対応して、のびないように背脂・太麺が採用されていった。この地のラーメンも同じく、港町や自家製麺率日本一など、この地方ならではのルーツがあります。僕もまた、勉強させてもらう思いで来ました」(松本氏)
「ご当地ラーメンのない長野で歩んできたので、人口あたりのラーメン店舗数1位(山形県)、ラーメンに対する支出が1位(山形市)と、ラーメンが日本一愛されるご当地はうらやましい限りです。脂に頼らない庄内ラーメンは、高齢化社会が進む日本の救世主になるのではないでしょうか」(塚田氏)
土屋氏がリードする中、「日本最後のご当地ラーメン」を庄内ラーメンとしてブランディングも提案され、地元の参加者たちが大きくうなずく場面もありました。
「この空気、人のあたたかさも満喫して初めて、フルで味わったと言える。塚田さん、松本さんのように東京に攻め上るのもありだけど、『山形へおいでよ』というPRで魅力をさらに醸成していくのもありでしょう」(土屋氏)
◆第3部
『酒田のラーメンを考える会』の皆さんによるメッセージ
セミナーの締めは、『三日月軒 東中の口店』佐藤裕司氏、『新月』加賀屋貢氏によるメッセージ。酒田におけるラーメン史を振り返りつつ、多加水熟成麺を完成させるまでの道のり、現在のお土産ラーメン・マップ制作など、グループならではの取り組みを総括していただきました。「酒田ラーメン」として堅苦しく定義するのではなく、「酒田“の”ラーメン」として、ゆるやかに一体感を形成。切磋琢磨して味づくりに挑む姿勢が伝わってきました。
◆懇親会
セミナー後はフロアを移動して懇親会が開催されました。セミナーで登壇した土屋氏、松本氏、塚田氏は参加者の質問攻めに。今回のセミナーの発起人である日本ラーメン協会理事の早坂雅晶氏も、東北と全国ラーメン店の橋渡しに奔走しています。首都圏、大阪、九州から馳せ参じた会員さんは、山形のラーメン店主と一斉に名刺交換。ラーメン談義、情報交換を楽しみました。セミナーで得た知識だけではなく、懇親会の交流も大きな意義を持ちます。ラーメン店や関係業者を含め、この日構築したネットワークをつなげていってほしいものです。
また、会場では当地を代表する日本酒が提供され、参加者は鳥海山の雪解け水、名水の恵みを存分に味わいました。あらためて、庄内平野という地の利を感じたのです。
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